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Journal Club_Pancreas

公開·4名のメンバー

Keigo hayashi


Oncologic Outcomes After Robotic Pancreatic Resections Are Not Inferior to Open Surgery

AbstractMark D. Girgis, MD.

UCLA, Department of Surgery, Division of Surgical Oncology, Los Angeles.

Annals of Surgery. 274(3):e262-e268, September 2021.■ Objective:

Pancreatic adenocarcinoma(PDAC)に対する開腹手術とロボット手術における腫瘍学的アウトカムを比較する

■ RQの構造化

Ho : 開腹手術とロボット手術における腫瘍学的アウトカムに差はない

P : PDACに対して開腹手術とロボット手術を受けた患者

E : ロボット手術

C : 開腹手術

O : 腫瘍学的アウトカム

M: Retrospective cohort■ Methods:

P: 2011-2016年に開腹またはロボット支援下膵切除が行われたPDAC患者を対象. 術式はPD, DP, DP-CAR.

ロボットアプローチの選択バイアスを減らすため, 執刀医は施設で定められたラーニングカーブに到達した者かつ到達後の患者を対象とした.

・データ収集はNCDBに登録された電子カルテデータから後方視的に収集. ITT解析.

・術前併存症の状態については年齢調整CCIを用いて評価

・膵液漏, 胃内容排泄遅延, 術後出血についてはISGPFの基準により評価

・合併症はC-D分類を用いて評価■ Result:

456名の患者が対象となり, ロボット手術226名, 開腹手術230名であった. 12名(4.8%)がconversionとなった(PD10例, DP1例, DPCAR1例).

●患者背景:ロボット群においてBMIが高く(27.1vs26.4, p=0.048), アルブミン値が高かった(3.68 vs 3.52,p=0.005). 他の患者背景は有意差なし.

●手術及び周術期成績

・R0切除は両群間で同等であった(81.9% vs 78.7%, p=0.396). リンパ節郭清個数は全体ではロボット群で多かった(26 vs 32, p<0.0001). 術式別では, PD群は有意差を認めるも(26 vs 32, p<0.0001), DP, DP-CARは有意差なし.

・周術期成績ではロボット群は開腹群よりも入院期間が短く(7日 vs 9日,p<0.001),さらに創感染率(32.3% vs 12.4%, p < 0.0001)と輸血率(39.6% vs 12.4%, p < 0.0001. 量の記載はなし)はロボット群で低く, 周術期死亡率に差は認められなかった. ロボット群ではC-D分類 Grade3以上の合併症は少ない傾向であったが有意差は認めなかった(28.7% vs 23.9%, p=0.24).

・Clavien 3合併症のある患者は, OSの中央値が有意に短かった(21.1カ月vs 32.0カ月, P<0.001)(図1A)。

●化学療法について

・術前化学療法:NAC施行率は両群間で有意差なし(60.9% vs 62.5%, p=0.733). NAC施行群でOSの有意な延長を認めた(25ヵ月vs 23ヵ月, p=0.033)(図1B).

・術後補助化学療法:全体で70.4%が術後補助化学療法を受けた. 施行群のOS中央値は31ヶ月 vs 15ヶ月, p<0.0001と良好であった. 補助化学療法は6サイクル受けた患者で最大限の生存率向上が認められた(中央値=39.6ヶ月 ; 95%CI 31.3, 44. 9)(Fig.2)

・単変量解析ではロボットPDは術後補助化学療法を6サイクル受ける確率が低かった(46.6% vs 36.1%;p=0.047)

・多変量解析でロボット手術は術後補助化学療法を受ける予測因子ではなかった. 補助化学療法施行群の予測因子は病期分類が高いこと, 非施行群の予測因子はCCIが高いこと, 高齢であること, C-D>Grade3以上の合併症があることであった(table3).

●OSについて

・全体でのOSは手術から24.6ヶ月(診断からは28.2ヶ月)であった. ロボット手術群では開腹群に比べOS中央値は長い傾向であった(25.6カ月対23.9カ月, p= 0.055)(Fig3)

・多変量解析ではロボット手術(HR 0.77, p=0.041)と術後補助化学療法施行(HR 0.55, p<0.001)が生存期間改善の予測因子であった. C-D grade3以上の合併症(HR 1.45, p=0.006), LN陽性(HR 1.62, p=0.003)、およびR1切除(HR 1.55, p=0.001)はOS悪化の有意な独立予測因子であった.■ Limitation:

・単施設, retrospective reviewであること

・選択バイアスや治療戦略変化に伴う時間的バイアスの存在

・術前術後化学療法レジメが統一されていない■ Conclusion:

膵臓がんに対するロボット手術の長期主要学的アウトカムは開腹手術に対して非劣勢である.■ FINERによるRQの評価

F:施設により可能, ロボット手術の発展に伴い可能

I/N:科学的興味深さ/新規性 長期的な腫瘍学的アウトカムに焦点を当てた点

E: 問題なし

R: ロボット膵切除発展のためのデータとなり得る■ 私見

ロボット膵切除における長期予後に焦点を当てた研究です。ロボット手術による精緻な手術により合併症率が減少し, 結果としてOSの延長見込める, というロジックですが合併症率及びsurgical approachでの比較では有意差は出なかったという結果になっています.

PD, DP, DP-CARについてまとめて論じられており, 全体でのアウトカムとしては吟味が必要かと思います。また, 背景についても膵炎既往や膵臓の状態(soft pancかどうか, 膵管拡張の有無など)も検討には含まれていないようなので, これらのデータもあるとより参考になるのかなと思いました. 合併症についてもC-D>grade2とのみ記載されており, それぞれの詳細はやはり術式によっても変わってくると思われます。

Limitationでも触れられている通り単施設での研究であり, 今後は術式別やより詳細な比較を行うことでよりロボットの価値について論じることができるのではないかと思います.

日本においてはまだ肝膵領域でのロボット支援下手術は黎明期にあるものと思われ, 当院でも導入したばかりですが, エキスパートに言わせるとDPについてはまだ腹腔鏡のメリットが大きいのではないか, という印象です. 今後の技術やデバイスの進歩にも期待される領域と思われました.

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