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Journal Club_Pancreas

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Mamoru Miyasaka


Title:Revision of Pancreatic Neck Margins Based on Intraoperative Frozen Section Analysis Is Associated With Improved Survival in Patients Undergoing Pancreatectomy for Ductal Adenocarcinoma

Ann Surg. 2021 Aug 1;274(2):e134-e142.

Zhang B, et al.

1. Department of Surgery, Massachusetts General Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA.Background:膵管腺癌(PDAC)は全身性疾患であると考えられ、組織学的に完全な局所切除を達成すること、特に膵頸部での術中凍結切片(FS)陽性の際の再切除による利益については、依然として議論がある。Koobyらが1399人のPDAC患者を対象に行った多施設共同研究(Ann Surg. 2014)では、non-en-bloc切除の生存率は、en-blocで完全切除した場合よりも不完全切除の生存率と同等であることが明らかになり、ネガティブマージンを得ることを目的としてさらなる切除を行う意義はないと結論づけている。

Objectives:膵頭部のFS陽性のマージンの再切除を含む完全切除を達成することは 不完全切除と比較して、全生存率(OS)が向上するか。また、FSに基づく再切除が 周術期の合併症および死亡率の増加と関連するかどうかを検討する事。

P: マサチューセッツ総合病院で1998年から2012年、ヴェローナ大学で1998年から2013年の間に、開腹手術と術中FS分析を受けた、膵頭部のPDACを有する患者986人。

O: Primary=OS。

Secondary=周術期の合併症率(膵液瘻、胆汁瘻、膵周囲出血、胃排出遅延、心臓および肺の合併症など)および再手術、在院日数(LOS)、30日再入院、30日死亡率。

M: 臨床病理学的および治療データをレビュー。OSと周術期の合併症率および死亡率を、完全切除達成群(CR-EB)、完全切除達成非一括切除群(CR-NEB)、不完全切除群(IR)の3群で比較した。

CR-EB:FSが陰性で、PS(永久切片)が陰性をen-blocで達成された患者。

CR-NEB:FSが陽性で、再切除によりPSが陰性になった患者。

IR:FSおよびPSが陽性、またはFSが偽陰性でPSが陽性の患者。Results:

CR-EB群は749例(76%)、CR-NEB群は159例(16%)、IR群は78例(8%)であった。CR-NEB群とIR群で血管合切の頻度が高かった以外は、患者背景、病理学的要因(例:腫瘍grade、リンパ節転移、SMAへの浸潤)、治療要因(例:neoadjuvantまたはadjuvant治療)は群間で異なっていなかった。OSの中央値は、CR-EB(28ヵ月)およびCR-NEB(24ヵ月)で、IR(19ヵ月)群に比べて有意に高かった。臨床病理学的特性と治療特性を調整した結果、CR-EBとCR-NEBのマージンステータスはOS改善の独立した予測因子であることがわかった。膵液瘻の発生率を含め、周術期の合併症率と死亡率には群間で差はなかった。・FS陽性で5-10mm断端を追加切除。追加切除回数の定義はなく、外科医の裁量で決定。

・FS陰性は80%(n=785)、そのうち95%(n=749)がPSで陰性。残りの5%(n=36)はPS陽性であった偽陰性の完全切除であり、最終的にIRに含まれた。FSが最初に陽性となった患者20%(n=201)のうち、79%(n=159)は、再切除により断端陰性に成功。残りの21%(n=42)はPSで陽性のままであった。

・グループ間で有意差があったのは、手術の種類と血管切除の2つ。膵頭十二指腸切除術が最も多く行われており(94%)、CR-EB群ではその頻度が高かった(p< 0.01)。膵臓全摘術(6%)はCR-NEBの方が多かった(p<0.01)。さらに、CR-NEBおよびIR群は、CR-EB群に比べてPV/SMV切除を必要とする割合が高かった(p< 0.01)。

・アジュバント療法の有無による解析でも、CR-EBおよびCR-NEBの切除に伴う生存率の優位性が変わらない事がわかった。CR-EB(31カ月)とCR-NEB(28カ月)では、IR群(21カ月)と比較して、OS中央値が有意に改善した。CR-EB群とCR-NEB群の間に差はなかった。NACを行った191人を除いた追加解析でも、IR(18カ月)と比較して、CR-EB(28カ月)および CR-NEB 患者(25カ月)は、再びOSの改善を示し、CR-EB患者とCR-NEB患者の間には差がなかった。

・呼吸器合併症(無気肺、肺炎、肺塞栓症)は、CR-EBよりもCR-NEBおよびIRで多く見られた(28% vs 22% vs 17%, p< 0.01)。これは後者2つでは血管合切率も高く、手術時間が長かった可能性が考えられる。

・Koobyらの報告(Ann Surg. 2014)では、OSが短く、30日死亡率が高く、アジュバント実施が少ない。またマージン陰性の定義もKoobyらは膵臓の切除切片から1mm以内の腫瘍を陽性とし本研究は0mmと定義した。患者背景に加えて、それらのために異なる結果となったと考えられる。Limitation: 後ろ向きデータ(RCTは困難)、2施設とも手術後に患者は紹介元病院でのフォローとなるため

再発に関する信頼性の高いデータを得ることが困難。NACがまだ積極的に行われていない期間のデータである。

Conclusion: 膵頭部のPDACに対して、FS解析に基づいてen-blockまたはnon-en-blockのいずれかで腫瘍を完全に切除することは、周術期の合併症率や死亡率の増加を伴わずに、OSの改善と関連する。私見

F: 可能

I:以前から議論になっている

N:特になし

E: 問題なし

R: Adjuvantも変化してきておりより直近でのデータは重要

Methodsに関して:high volume 2施設でOSおよび30日までのデータを集積したもので、より詳細なフォローデータがあるとなお良いか。挙げるのが遅くて申し訳ありません。FS陽性の定義や腫瘍背景など、DiscussionでもKoobyらの論文との違いをかなり挙げている印象でしたが、0mmの’’en face’’でも断端陰性を確保する事によるOSの有意差、合併症が少ない事が報告されています。局所再発など詳細は不明ですが、実際にFSを出して数mm追加切除を行う事が手術時間の要素以外にはそこまで困難な事ではないと考えられるので、少しでも怪しい症例においては重要であるのでしょう。本文中にもありましたが、今後のSystematic reviewやNACがより含まれたBig dataも気になるところです。

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